過去に、全国にあるエレベーターの中で割合が一番多い「ロープ式エレベーター」の点検についてご紹介しましたね。
今回は今から30年ほど前に出回った「油圧式エレベーター」を点検していきます。
エレベーターを動かす仕組みが変わるので点検する箇所も変わります。
ロープ式との相違点に着目してみてくださいね!🕵️
点検の様子
点検札を貼る
ロープ式と同じく、点検を始める前に「このエレベーターは点検中です」と周知します。
各階の乗場ボタン付近に【点検中】という札を貼っていきます。
ピットの確認
札を貼り終えたら、1階でエレベーターを降りエレベーターを上の階へ送ります。
その状態で特殊な鍵を使って扉を開け、エレベーターが自動で動かないようにスイッチを押しておきます。
ピットとは、エレベーター塔内の一番下、地下に設けた空間のことです。
利用者がエレベーターの隙間に落としてしまった物はここへ落ちていくので、何か落とし物はないか、水が溜まっていないか、エレベーターの走行に異常はないか確認します。
ピットに大きな柱のようなものがあります。ロープ式の時には見当たりませんでしたね👀
これはシリンダーといい、中は空洞になっています。ポンプから油が送り込まれ、この中を通っていくのです。
非常ボタンの確認
ピットから出て非常ボタンの確認をおこないます。
ボタンが作動するか、遠隔装置がついている場合は保守会社のコールセンターに繋がるかしっかり確かめます。
コールセンターとエレベーター内でお互いに何を言っているのか聞き取れるように、ノイズがないか音量は適切かチェックします。
塔内の点検
エレベーターのカゴの上に乗って点検を行います。こちらには銀色の筒のようなものが見えますね。
これはプランジャーと呼ばれ、シリンダーに送られた油の力によって押し上げられます。
プランジャーが押し上げられることによってエレベーターのカゴが上昇するのです。
プランジャーとシリンダーの境目で油漏れしていないか確認します。
エレベーターのカゴ上に乗って手動でカゴを動かし、順番に各階の扉を点検していきます。
人力でドアを動かし、異音がしないか、スムーズに動くか、ドアロックがしっかりかかるか確認します。
スイッチの接点を磨いたり汚れを取り除いたり、こまめな清掃をおこないます。
扉の点検を終えたら、エレベーターのカゴが走るレールに注油していきます。
油を塗るとエレベーター走行時の異音がなくなり、スムーズに動かせるようになります。
この辺りはロープ式の点検と同じですね。
機械室の点検
機械室へやってきました。
機械室では、油を送るポンプ周りに油の付着がないか、ベルトに亀裂がないか等をチェックします。
詳しくはこちらの動画で👇
報告書の作成
点検がすべて終わったら報告書を書きます。
ロープ式はロープ式の、油圧式は油圧式のそれぞれ専用の報告書があるんです。
今回点検したエレベーターは、メーカーから部品供給停止の案内がされている機種なので、
リニューアルをオススメする文言を書き添えておきます。
点検札を外す
これで点検が終了したので点検札を外していきます。
以上、いかがだったでしょうか。
同じエレベーターの点検でも、ロープ式と油圧式では同じところと違うところがありましたね。
みなさんの近くのエレベーターはどんな点検をおこなっているのでしょうか。
それではまた次回✋